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3回目を迎えた大鳥音楽祭のこと。

大鳥音楽祭の主催者、嶋尾和夫さんにインタビュー後編

ども、田口(@tagu_h1114_18)です。

大鳥音楽祭vol.3の開催がいよいよ今週末となりました。

開催に先立って、大鳥音楽祭実行委員長であり、彫刻家の嶋尾和夫さんから開催に向けての想いなどをインタビューをしました。

前編を読んでいないと繋がりがわからなくなっちゃうので読んでいない方はぜひ前編から読んでみてください。

大鳥音楽祭vol.3開催直前インタビュー前編『世界大戦で自由を叫んだ詩人たちと、欲望経済に距離を置く大鳥音楽祭。』 ~大鳥在住の彫刻家 嶋尾和夫さん~

では、後編をどうぞ。

(話し手:嶋尾和夫 ー聞き手:田口比呂貴

世界に向かって演奏すること

―大鳥ジャズを聴く会(大鳥音楽祭の前身)で礒見さんたちとやってた頃は、次なるボブディラン…なんてことを考えたりしましたか?

最初は考えもしなかったけども、礒見さんたちの演奏を聞いてて、前のインタビューでも言ったけれど、「日本人もやっとジャズを自分のものにしたな」って感じたの。ここから世界へ。このグループ、アメリカに出してもやれるんじゃないのっていうことは考え出したよね。本人たちもそのくらいのものを持ってないとあんな演奏できないと思うよ。色んなグループの演奏も見てるだろうし。だから嘆きもあるよね、日本の音楽界に対しても、ジャズにも。「俺たちは面白いことやってるよ!」って言ってるからね。ただ、今そういうのが中々目に留まらないっていうか。

それと天田さんも大きい。音楽祭の1回目から来てくれてるよね。その前に僕は知り合ってて、礒見さんに「ちょっとフルート奏者がいるんだけど今度やってみない?」って声かけたけど、最初は断られたんだよね。「わからない人とやると、どうなるかわかんない。相手を探ってつまらないものになってしまう。」って。そこまで言われたら僕も強くは言えないから。「じゃあ今回は辞めとこうか」って言って。

ただ僕はね、ジャズってのは自由な演奏でさ。楽譜なくても一緒に演奏できる滅多ない分野で。同じジャズやっててさ、何やってるかわかんないにしてもそれを受け入れるのがジャズだと思ってたからガッカリしたわけよ。だから「えー、ジャズなのにそんなこと言うの。」って思ったよね。だけども結局は一緒にやって。そしたら良かったからね。それで天田さんも加えていけば、音楽も幅が広くなるんじゃないかなーって。

いつも新しいモノを求めて

―2016年は礒見さんと天田さん、東京でガンガンやってましたしね。

そうだね。それで今年は白崎さんと礒見さんとやって、良いモノが出るかもしれないからね。

―去年は天田さんと、今年は白崎さんとって、そうやって背景が変わっていくのは、僕は好きなんですよね。

そういう意味ではいつも新しいものを求めているよね。それが感じられるから、もう10年近くね。大鳥でジャズやるのは限界かもしれないなぁって時もあったけど、何とか続けられたのは、次へ次へって思いを礒見さんにも感じるし、礒見さんも僕に感じてくれたのかもしれないし。だから一緒にやり続けられるんじゃないかなって。向こうがガッカリしたこともあるんだろうけど。

―お互い毎年同じでは満足しないというか…。最近、他県の限界集落と呼ばれる地域でも演奏したり、「ここでこういう面白いことやってるよ」って僕にも紹介してくれるし。僕と嶋尾さんは大鳥ばっかり見てるけど、礒見さんはいろんな世界を見ていて。

それを聞くとね。大鳥が原点になってるんじゃないかなって思うよ。やっぱり本人たち、良かったんじゃない?ここでやったことが。

―演奏を大鳥でして、耳馴染みもよくって。ライブハウスとかでやるとは違う。だから自分も行きたいというのが最初はあったかもしれないけれど、今はそれ+αで、この音楽祭というのを礒見さんなりにどうしたいのかっていうのがあるのかもしれない。大鳥の、その背景も見てくれているのかもしれないですね。

だからね、実行委員会に一回出てみたいと言ってくれてるよね。それくらい自分の音楽祭と捉えてもらっていると思うよ。

大鳥音楽祭vol.3 のこと

―音楽祭で演者を選ぶ時も、嶋尾さんの独断では決めないというのは実行委員の共通認識としてあって。実行委員のメンバーで見聞きした中で、「あ、この人本当ににいいな」って思った人を選びましょうって。僕はin the peaceさんも北村謙さんも今回初めてですが。

京都からだからねぇ。ホントにありがたいと思うよ。今までにないジャンルだしねin the peaceさんはブルース系だって言ってたよね。僕はうるさいよ、ブルース。笑 北村謙さんは高石ともやでしょ。僕、CD持ってっから。謙さんのはもってないけど。一つだけ謙さんの危惧があるんだけど…。お喋り。あんまり喋って貰わなくても…。音楽祭ですから。笑 関西の人って喋るよねー!

―あー、すいません。笑(田口は大阪出身) エンターテイメントとは言わないにしても、喋りも含めて1時間なりの空間を楽しんでもらえたら良いって考え方が根本にあると思うんですよ。序章があって、盛り上がりがあって、オチがあってって。音楽ばかりじゃないかもですが、時間内でお客さんを最大限楽しませるという意味でのプロかもしれないですし。

それに京都や東京からも演者が来てくれるってのは凄いことですよね。

ホントそう。来る人は。いつかスペインからも…ね。次なるボブディラン…。だってここはさ、お金がメインじゃないんだもん。だからこそ、ここで。ディランが出てくると思うわけよ。

大鳥音楽祭のこれから

―今年で音楽祭としては3回目ですけど、変わってきたことはありますか?

バラエティーは出てきたよね。やっぱ食べ物が地域で根付いたっていうのは大きいよ。やまのごっつぉとか月山ワインとか。ビールは1回目からあったけど。そっちのほうで来る人もいるかもしれない。

それで、前のインタビューで、何を伝えたいですか?ってところで、衣食住で。人間の原点の姿、衣食住とそれでは補えない精神的なものってことで音楽と、今回は壁画も出てきたし。そこが一緒になってドンドン積み重なっていけばいいなぁって思う。

―小屋とか空き家とかを音楽祭で買うっていうのも良いかもですね…笑

その時にここで美加さんが出てくるわけよ。それで彼女はタキタロウ広場にトムソーヤの小屋を作るって。すごいねぇ!あそこ舞台あるんだからさ。電気も取れるでしょ?ある程度はあそこでやりながら、こんな小屋を造りました、って知らされるからね。ほんと衣食住で大鳥音楽祭がますます豊かになっていくわけよ。

―あと僕は、大鳥の人からもっと話を聞きたいですね。この辺の自然資源をめいっぱい利用して生活の糧にしてきたっていう世代は、今大鳥に暮らしている人たちが最後の世代だと思います。聞いていると暮らしの知恵がいっぱいで。シオデを何本も採って、フキの葉っぱに載せて味噌をいれて包んで焚き火にくべると。それを食べるとめちゃくちゃ美味しいとか。そんな話もあるし。

いや、聞けばほんとにすごい話がドンドン出てくるよね。3回目はこれから始まるわけだけど、前夜祭にこういう話をぜひしたいよねー!

結び 3回目を迎えて

やっと3回になったよね。1回目、2回目があって。3回目っていうのはね。これから音楽祭として定着していくことで、3回目は重要かなって思ってんの。一回目は最初やるっていうんだからそれは重要だし、2回目っていうのはある意味では怖いしね。次もできるのかなぁって。なんか2番煎じとか。そういうのになっても…。だからそれぞれいろんな意味があるわけよ。それを乗り越えて3回目にきたってことは、これが定着していくかどうかの、良い意味があると思う。だからじゃあ、4、5と続いていくの?ってことじゃないけども、3回やったってことは、これから定着していこうって、それぞれにがなると思うよね。それぞれ4回5回って意味があると思うけど。まぁ、まずは今回の音楽祭とね。と、前夜祭ね。と、壁画美術展ね。

―3本立てですからね。初めてやることが多いから大変なのかもしれないですね。落ち着いて来れば慣れるかもですけど。先を見据えるとやることも沢山ありますけど、基本は衣・食・住+αとしての音楽祭で。とりあえず3回目、やってみるしかないですね。

インタビュー、いかがだったでしょうか。

百聞は一見にしかず。

 

自然豊かな大鳥の風景も、大鳥に飾られた壁画美術展も、大鳥ならではのご馳走も、世界に通用する演者の演奏も、みんなで楽しむキャンプファイヤーも。ぜひ堪能して欲しい。

 

宿泊の申込も6月30日まで受け付けていますのでぜひぜひ泊まりで大鳥音楽祭に遊びにきてくださいー!